児童養護施設とは｜児童養護施設での保育士の仕事内容を解説

児童養護施設

Contents

1 児童養護施設とは
2 児童養護施設での保育士の役割
3 児童養護施設での保育士の仕事内容
4 入所に向けた支援
5 施設内支援
6 退所に向けた支援
7 アフターケア
8 参考

児童養護施設とは

児童養護施設は、児童福祉法第41条の規定に基づき、保護者のない児童・虐待されている児童・その他環境上養護を必要とする児童を入所させて養護し、あわせて退所した者に対する相談や、その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設です。対象は、2歳から18歳に至るまでの子どもとしてきましたが、必要がある場合は乳児から20歳まで措置を延長することができます。長期入所と短期入所があり、長期入所は、親からの虐待や放任、親の精神疾患・破産などの経済的理由が多く、短期入所は、親の就労や入院が多いです。特に長期入所の理由は複雑な背景があり、半数以上は保護者から虐待を受けた子どもで、次に親の病気や離婚などにより親の養育が受けられない子どもも多いです。また、経済的困難・両親の不仲・精神疾患・養育能力の欠如など、多くの要因がからみあい、入所の直接の原因が改善されても、別の課題が明らかになることも多くあります。児童養護施設では、できる限り家庭的で落ち着いた雰囲気の中、子どもたちが心豊かで健全に成長できるよう、また、社会的に自立するための支援をしています。

児童養護施設での保育士の役割

児童養護施設に入所してくる子どもは、親からの虐待や家庭崩壊による悲しみやトラウマに苦しむ子どもが多くいます。その苦しみに寄り添い、子どもたちの変化に注意し、じっくりと話を聞いたり心の支えになることが必要です。子どもが「生まれてきてよかった」と思い、自信を持って自立して生きていけるよう、保護者の代わりに養育していくことが施設保育士の役割です。児童養護施設で働くのは、保育士の他に児童指導員、看護師、栄養士、調理員などで、子どもの人数によって配置人数が決められています。その中でも保育士は、主に就学前の子どもへの家庭的な援助が仕事です。

児童養護施設での保育士の仕事内容

基本的生活習慣の自立に向けた援助（食事・着脱・排泄・入浴・睡眠）

子どもの成長や発達に合わせた遊びや運動

健康観察や病院の通院・予防接種

学校や幼稚園保育園とのやりとりや行事への参加

生活必需品（子どもの服など）の購入

行事や外出の支援

が主なものです。また、子どもが成長するにしたがって、学習支援や進路の相談の援助も行ったり、洗濯や施設内の掃除などの日常的な家事や、施設の安全点検・衛生管理も行います。

入所に向けた支援

児童養護施設の入所は、児童相談所や福祉事務所、自治体の子育て支援窓口に連絡し相談します。子どもの状況をみてサポートを必要とすると判断された場合は、入所のための手続きを児童相談所が行います。児童養護施設の入所でかかる費用は、市町村によって額は多少変わりますが、保護者の所得によって変わります。例えば、母子世帯やひとり親で収入が少ない場合は減免になることもあります。保護者からの相談がない場合でも、子どもからの訴えがあったり、児童相談所で必要だと判断されたときは、子どもが児童養護施設に入所する場合があります。

施設内支援

児童養護施設は、子どもたちの生活の場であるので、家庭的な落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることができるよう、施設面や職員配置などが決められています。また、自立支援計画に基づき、子ども1人ひとりの状況に合わせた個別の支援を行っています。家族と再び暮らせるように、保護者や親子向けのプログラムを実施することもあります。

退所に向けた支援

子どもは18歳になると退所を迎えます。退所に向けて施設内でケース会議を行い、子ども本人や保護者の思いを踏まえながら児童相談所や関係機関と協議して、適切な退所時期や退所後の生活を検討します。進学の場合は、奨学金の検討や返済方法などを調べて計画を立てたりし、就職の場合は、就職を考える子どもを支援する企業の紹介や地域の企業とつなげるというような、就職に向けてのサポートを行ったりします。

アフターケア

子どもが安定した社会生活を送ることができるよう、必要に応じて、児童相談所・市町村の担当課・地域の関係機関・自立援助ホームや、アフターケア事業を行う団体などと積極的に連携を図りながら支援を行います。また、退所後も施設として、子どもと保護者が相談できる窓口を設置し、相談にのったり、子どもや家庭の状況の把握に努めて、退所後の記録をとっていきます。その他、施設退所者が孤立するのを防ぐために退所者が集まれるような機会を設けたり、退所者グループの活動を支援して参加を促したりします。