児童自立支援施設とは|児童自立支援施設での保育士の仕事内容を解説

保育士_児童自立支援施設

児童自立支援施設とは

児童自立支援施設とは、児童福祉法第44条により、「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由によ り生活指導等を要する児童」を対象とした児童福祉施設です。施設に入所あるいは、保護者の下から通所させ、必要な指導を行って児童の自立を支援することを目的としています。基本的には18歳未満の児童を預かる施設ですが、義務教育を終えると、家庭に戻って進学したり就職したりすることが多く、小中学生の入所がほとんどです。対象となる児童の多くは、保護者の放任や体罰・言葉の暴力などの家庭環境の理由により、児童相談所の措置によって入所しています。窃盗などの比較的軽い犯罪による家庭裁判所の審判の結果、保護処分として送致されることもあります。1900年に感化法が制定され、非行少年や親のいない子どもを教育して更正をはかる施設として「感化院」が設置され,その後、「感化院」は「教護院」となり、1998年に「児童自立支援施設」と名称が改められました。
現在、各都道府県と政令指定都市に配置され、国立・私立の施設と合わせて58の施設があります。児童自立支援施設では、子どもの日常の生活を支援していくとともに、義務教育中の学科指導や職業指導などが行われ、退所後の児童に対しても相談・援助などのアフターフォローを行っています。

児童自立支援施設での保育士の役割

児童自立支援施設では、保育士は児童生活支援員となり、基本的には児童の普段の生活の支援が主な役割となります。児童自立支援施設には、児童生活支援員の他に、施設長や児童自立支援専門員といった、社会福祉士や医師の資格を持つ職員嘱託医、栄養士や調理員が配置されています。また、児童5人につき、児童自立支援専門員と児童生活支援員を1人以上つけることが定められています。児童自立支援施設に入所する児童の多くは、放任や虐待によって親の愛情に飢え、社会に対して強い不信感や寂しさを抱いていることがあります。その影響が原因で不良行為に及んだり、同じような境遇の仲間と共に、夜間に徘徊するなどの行動を起こし、児童相談所から入所することもあります。児童の大人への強い不信感を少しでも払拭できるよう、安心感のある環境の中、職員と児童との間で信頼関係を育むことが重要です。保育士は児童に対して母親代わりとなり、愛情をもって根気強く個々の課題と向き合っていくことが大切です。また、入所する児童の中にはADHDなどのなんらかの発達障害をもっていることも多いため、保育士の専門的な知識が必要とされます。児童と共に暮らし、寝食などの生活や学習といった教育を支援して、児童が心身ともに健康になる中で、自己肯定感を育み、他者を尊重し共生する力を育むためにも、職員自身が行動をもって示さなくてはなりません。また、児童の保護者への相談などの支援や、児童相談所や地域との連携の役割も担います。

児童自立支援施設での援助内容

児童の心身の健やかな成長と,その自立支援のために、安心できる生活を支えながら、生活指導、学習指導、職業指導や家庭環境の調整を行います。また、退所した児童についても、相談などの援助を行っています。

生活指導

健康な心身を育むため、児童の自主性を尊重しながら、衣食住に関しての基本的な生活習慣を身につけられるようサポートします。また、児童の思いやニーズをくみ取りながら、安心して生活できる環境を整え、自立のために必要な生活の知識を得たり、児童自身がこれまでの行動に向き合う機会や自己肯定感を得るための機会などをつくる取り組みも行います。
心理的ケアが必要な児童には、専門医と連携して治療を行っていきます。

学科指導

それぞれの児童がより良い自己実現に向けて学習意欲を持つことができるよう、施設内に小中学校の分校などを整えて、学習指導要領に準じた学習をします。また、部活動や行事等のスポーツ・文化活動を通して児童の個性を伸ばし、社会性・人間性が育めるように支援しています。進路支援では、児童にとって最善の利益となるような進路を自己決定できるよう、進路選択に必要な資料を集めたり、相談などの支援しています。

職業指導

豊かな人間性や職業観を育成するため、作業支援や職場体験・実習を通して相互理解を深め、社会性や協調性を育み、社会人としての自立するために必要な態度や行動を培えるよう支援します。また、個々の児童の適性や能力等に応じた、職業選択の相談などの支援を行います。

家庭環境の調整

入所する児童の家庭環境は複雑な家庭が多く見られます。児童自立支援施設では、それぞれの児童や保護者・家族の状況に応じて、面会、電話や手紙のやり取り、一時帰宅、保護者との面談や家庭訪問などを積み重ねながら、児童と保護者が望ましい親子関係を築けるよう計画し、調整していきます。また、家庭に帰れない児童に対しては、家庭に代わる環境への調整を配慮し、児童が望ましい人間関係の中で自立できるよう支援します。

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